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外国人との交通事故

Q.日本に住んでいる外国人ですが、クルマにひかれてケガをしてしまいました。日本人と同じように損害を賠償してもらえるのでしょうか?

A. 交通事故の当事者が外国人であっても、日本の法律に則って処理されます。

例えば、日本人がクルマを運転していて外国人にケガをさせてしまった場合、加害者は被害者に対して損害を賠償しなければなりません。

交通事故による損害のうち、治療費・通院交通費などは外国人であっても実際に支出した費用が支払われます。

交通事故によるケガによって仕事を休んだ分の損害については、日本で就労している外国人には、実際に支払われている賃金に基づいて算定されます。

後遺障害などにより働けなくなることによって得られなくなる収入については、予測される日本での就労可能期間ないし滞在可能期間内は日本での収入等を基礎とし、その後は想定される出国先(多くは母国)での収入等を基礎として算定されます。

外国人の方は、言葉も通じにくく、日本の法律や保険制度についてご存じないことが多いといえますから、外国人の方が被害者となった場合も、加害者となった場合も、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

 

1 交通事故と外国人

交通事故は、故意または過失によって他人の権利などを侵害するものですから、「不法行為」とよばれます。「不法行為」については、加害行為の結果が発生した地の法律が適用されますから、日本で交通事故が発生すれば日本の法律が適用されます。したがって、交通事故の当事者が外国人であっても、日本の法律に則って処理されます。

例えば、日本人がクルマを運転していて外国人にケガをさせてしまった場合、加害者は被害者に対して損害を賠償しなければなりません。クルマの所有者等は自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)への加入が義務づけられていますので、一定の範囲については自賠責保険から支払われます。自賠責保険から支払われる範囲を超える被害については、加害者自身か加害者が加入している任意保険によって支払われます。

※「『自賠責保険』と『任意保険』」の詳細ページはこちら(http://www.okuda-jiko.com/自賠責保険と任意保険/

 

2 外国人の交通事故による損害

交通事故による損害は、(1)交通事故によって現実に費やした費用である「積極損害」、(2)休業損害・逸失利益など、交通事故がなかったら得られたであろう利益である「消極損害」、(3)精神的損害に分けられます。

(1)「積極損害」には治療費・通院交通費などがあり、外国人であっても実際に支出した費用が支払われます。

(2)「消極損害」には「休業損害」と「逸失利益」があります。「休業損害」は、交通事故によるケガによって仕事を休んだ分の損害で、外国人であっても日本で就労している場合には、実際に支払われている賃金に基づいて算定されます。

「逸失利益」は、後遺障害などにより働けなくなることによって得られなくなる収入のことをいいます。「逸失利益」は、一時的に日本に滞在し将来出国が予定される外国人の場合、予測される日本での就労可能期間ないし滞在可能期間内は日本での収入等を基礎とし、その後は想定される出国先(多くは母国)での収入等を基礎として算定されます。

※「損害賠償として請求できるお金の種類」の詳細ページはこちら(http://www.okuda-jiko.com/損害賠償の計算方法/

 

3 弁護士へのご相談

外国人の方は、言葉も通じにくく、日本の法律や保険制度についてご存じないことが多いといえますから、外国人の方が被害者となった場合も、加害者となった場合も、弁護士に依頼した方が手続きを円滑に進めることができます。

また、保険会社は被害者よりも交通事故について高度な知識をもっており、被害者に不利な金額を主張することが多いといえます。しかし、弁護士が介入することによって保険会社から受け取ることができる金額が増えることが見込まれます。

こうしたことから、外国人が当事者となる交通事故については、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。