死亡事故の損害賠償

死亡事故の損害賠償請求は、亡くなった被害者の家族(相続人)が、加害者(多くの場合、加害者加入の保険会社)に対して行います。
賠償金の中身には以下のようなものがあります。

死亡慰謝料

亡くなった被害者本人のほか、被害者を亡くされたことによる遺族固有の精神的苦痛に対する賠償です。
金額は被害者の年齢や家族構成(一家の支柱であったか、など)その他の事情によって異なりますが、一般的に2000~3000万円の範囲内で認められることが多いです。
詳しくはコチラ→「損害賠償の計算方法」

逸失利益

被害者が事故に遭わずに生きていた場合、この先の人生で得られたであろう収入のことです。
例えば、年収500万円の人が、事故に遭わずに生きていればあと10年は働けるはずだったという場合、(500万円×10年=)5000万円が逸失利益となります。
ただし、ここから差し引かれるものが2つあります。以下の二つです。
(1)中間利息
故人がこの先の人生において長期間に渡って受け取る収入を、賠償金によって一括して(前倒しで)受け取るため、その分(「中間利息」といいます。)が控除されます。
(2)生活費
故人が生存していればかかる生活費も、亡くなってしまったことによりかからなくなりますので、その分の生活費も控除されます。

専業主婦の場合でも家事労働について有職者と同様の評価をすべき、とされていますので、逸失利益の請求が可能です。
同様に、幼児・児童・生徒・学生・高齢者・失業者など、事故当時職を有していない者についても、逸失利益は請求可能です(但し、就労の蓋然性の容認が必要な場合もあります。)。
詳しくはコチラ→「損害賠償の計算方法」

諸費用

事故が起こったことによって支出を余儀なくされた諸費用についても賠償請求の対象となります。以下のようなものがあります。
(1)死亡までの治療費
(2)死亡までの入院雑費
(3)付添看護費
(4)死亡診断書の交付など、書類を入手するためにかかった文書代
(5)葬儀費用 ※但し、認められる範囲は決まっています。

死亡事故による損害賠償にはいろいろな種類があり、またその算出方法も非常に複雑です。死亡事故では損害賠償金額はかなり大きな数字になりますので、少しの見解の違いで算出される金額に大きな差が出ることになります。したがって、慎重かつ正しい判断を要します。
相手が素人だと、慰謝料や逸失利益を相当程度低く見積もって示談を提案してくるケースも多いので、正しい金額を受け取るためには、弁護士などの専門的知識を持つ者に必ず相談されるべきです。
また、大切な家族を亡くされたばかりで精神的につらい状況にある中、このような複雑で難しい話を冷静かつ的確に進めることは容易ではありません。弁護士に依頼すると、保険会社などとのやりとりをすべて代理人として代行しますので、精神面での負担が軽減されることも大きなメリットであることを知っておいていただければと思います。

 

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